1.なぜProcess段階でロスが生まれるのか?
RISLOMで確認いただいたように、Excel操作ミスや業務知識の誤った適用といったロスは、VTeMのProcess(処理)段階で発生します。この段階では、情報を正しく理解し、記憶と照合し、正しい手順を選択する能力が問われます。
| VTeMの段階 | ロスの発生メカニズム | 結果として発生するロス |
| Process | 知識不足により、処理すべき情報(データやルール)を正しく解釈できない。 | 誤った手順の選択(ミステイク)、非効率な作業による時間のロス。 |
| Process | 業務が標準化されていないため、毎回異なる手順で処理し、記憶から抜け落ちる(ラプス)。 | 必要なチェック項目の見落とし、処理のムラによる品質のロス。 |
2.SOLPA-S2の目標:知識を仕組みに変える
Process段階のエラーを防ぐには、個人のスキルに頼るだけでなく、「誰でも一定の品質で処理できる仕組み」を業務に組み込むことが重要です。
3.実践:業務標準化とスキル補強の具体的なステップ
A. 業務知識・判断の「マニュアル化」と「フレームワーク化」
知識不足によるミステイクを防ぐには、属人的な知識を共有財産にすることが不可欠です。
- 手順の可視化: 経験者が行っている「暗黙知」(なぜその判断をしたか)を含め、業務手順をVTeMの流れ(Input→Process→Judgement→Output)に沿ってマニュアル化します。
- 例: Excelでデータを集計する際、ただ数式を書くだけでなく、「Process:このデータ形式であれば、SUMIF関数ではなくSUMPRODUCT関数を用いるべき」という判断理由を明記する。
- 判断フレームワークの活用: 複雑な問題解決や意思決定のJudgementを下す際、ロジカルシンキング(論理的な思考)のフレームワーク(例:MECE、ロジックツリー)を適用することをルール化します。
- これにより、感情や直感に頼らず、客観的なProcessを経て判断を下せるようになります。
B. ツールを活用した知識の補完(ラプス対策)
「知っているのに忘れた(ラプス)」というミスは、記憶を補う仕組みで防ぎます。
- テンプレートの活用: 複雑なExcelファイルや重要文書の作成時には、数式やチェックリストが組み込まれたテンプレートを使用することを義務付けます。効果: スキル不足によるミステイク(数式ミス)と、忘却によるラプス(チェック漏れ)を同時に防げます。
- 専門知識を自動で参照: 業務システムによくある質問 (FAQ)や辞書機能を組み込み、知識が不足した際にProcessを中断せず迅速に参照できる環境を整備します。
C. スキル習得を促す仕組み
個人のスキルアップ(知識の補強)を促す仕組みを導入します。
- ジョブローテーションとペア作業: 知識が特定の個人に偏ることを避け、異なる視点から業務プロセスをチェックする機会を増やす。
- スキルマップの作成: 業務に必要なスキルを明文化し、各従業員が「自分に足りない知識(Process段階でミスしやすい領域)」を把握できるようにする。
次のステップ【SOLPA-S2】でProcess段階の知識・スキル不足を解消したら、次はOutput段階のエラーを防ぐための仕組みを学びましょう。
[SOLPA-S3:仕組みでミスを防ぐポカヨケ設計(Outputミス対策)]
![SOLPA [Solution Park]](http://solpa.kasouken.net/wp/wp-content/uploads/2025/07/SOLPA_3.png)

コメント